【沖縄県久米島町】久米島と大手企業の共創。離島から始まる地方創生の最適解

【沖縄県久米島町】久米島と大手企業の共創。離島から始まる地方創生の最適解

沖縄県久米島。人口約7,000人のこの島は、今や「離島における地方創生のトップランナー」として全国から注目を集めています。

その鍵となっているのは、島独自の天然資源である「海洋深層水」を軸とした、大手企業や金融機関との戦略的な協業です。久米島がいかにして、単なる「観光の島」から「持続可能なモデルアイランド」へと変貌を遂げようとしているのか、その最前線をまとめました。


1. 海洋深層水を核とした「久米島モデル」の構築

久米島の地方創生において最大の武器は、水深612mから汲み上げられる海洋深層水です。これを単に製品にするだけでなく、エネルギーや産業に多段活用する「久米島モデル」を推進しています。

商船三井との包括連携(2025年最新事例)

2025年10月、久米島町は海運大手の商船三井(MOL)と包括連携協定を締結しました。この協業の目玉は、世界的に注目されている「海洋温度差発電(OTEC)」の実用化です。

  • エネルギー自給: 2040年までに島内のエネルギー100%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げています。

  • 脱炭素の実験場: 発電だけでなく、CO2回収技術の研究なども視野に入れており、大手企業の技術力を使って「最先端の脱炭素の島」を目指しています。

オリックスによる産業振興の支援

かつて、久米島の地産地消を支援するためにオリックスが参画し、ICTを活用した地産地消の仕組みづくりを行いました。島内のホテルと地元農家をマッチングし、島外に流出していた食材費を島内で循環させる取り組みは、離島DXの先駆けとなりました。


2. 金融・インフラ企業との「持続可能性」パートナーシップ

単発のイベントではなく、島のインフラや経済基盤そのものを強化するため、地元の有力企業や金融機関とも深い協業を行っています。

「離島地域持続可能性推進」パートナーシップ

2024年6月、久米島町は以下の企業群とパートナーシップ協定を締結しました。

  • 沖縄電力(エネルギーの安定供給・スマートシティ化)

  • 沖縄セルラー電話(通信インフラ・DX推進)

  • おきなわフィナンシャルグループ(沖縄銀行等)(地域経済の活性化)

これに、2025年3月には琉球銀行とも包括連携協定を締結。観光資源の利活用や、移住・定住促進に向けた資金循環の仕組みづくりを官民一体で進めています。


3. 楽天との「関係人口」創出プロジェクト

久米島は、移住者だけでなく「島を応援するファン(関係人口)」を増やす戦略にも長けています。

  • 楽天グループとの連携: 楽天の「ふるさと住民応援コンソーシアム」などを通じ、ふるさと納税の枠を超えたファンづくりを行っています。

  • データ活用: 楽天が持つビッグデータを活用し、どのような層が久米島に興味を持っているかを分析。それに基づいた効率的な観光プロモーションや特産品のマーケティングを展開しています。


4. なぜ久米島に大手企業が集まるのか?

久米島の地方創生が成功している理由は、「島全体を巨大な実証フィールド(サンドボックス)」として提供している点にあります。

  1. 実証のしやすさ: 離島という閉鎖系環境は、エネルギー自給やDXの効果を測定しやすく、企業にとって研究開発の場として魅力的です。

  2. 明確なビジョン: 「海洋深層水の多段利用」という明確な柱があるため、企業側も自社の技術をどう活かせるか提案しやすい土壌があります。

  3. 官民の距離の近さ: 町長をはじめとする行政側が、民間企業との協業に非常に積極的で、スピード感のある意思決定が行われています。


結び:久米島が描く未来

久米島の挑戦は、日本の多くの自治体が抱える「人口減少」「エネルギーコスト高騰」という課題に対する一つの回答です。

単なる「支援」を受ける立場ではなく、企業と共に「新しいビジネスモデル」を作り上げる。この対等なパートナーシップこそが、久米島の地方創生を長続きさせている最大の秘訣と言えるでしょう。


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